エッジ明瞭性が向上した構造の製造方法
专利摘要:
多光子硬化性光反応性組成物に対して放射光線を走査することを含む方法である。放射光線は、所定体積の多光子硬化性光反応性組成物を少なくとも部分的に硬化させるために充分な出力を有する。本方法は更に、放射光線が走査される際に放射光線の特性を改変することを含む。 公开号:JP2011507031A 申请号:JP2010538011 申请日:2008-11-06 公开日:2011-03-03 发明作者:ティー. クラサ,ロバート;ジェイ. ゲイツ,ブライアン;アール. シコラ,クレイグ;ジェイ. デボー,ロバート;ファクリス,ディーン;ペ. マルコビッチ,プルジェミスワブ 申请人:スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー; IPC主号:G03F7-20
专利说明:
[0001] 本開示は、多光子吸収重合を利用して構造を製造するための方法に関し、より詳細には、構造のエッジ明瞭性(edge definition)を向上させるための方法に関する。] 背景技術 [0002] 多光子硬化プロセスが米国特許第6,855,478号に開示されている。これらのプロセスでは、多光子硬化性光反応性組成物を含む材料の層を基板(例えば、シリコンウェーハ)に塗布し、超高速レーザー光線などの集束された放射エネルギー源を用いて選択的に硬化させる。多光子硬化法は、マイクロスケール又はナノスケールの解像度を有する2次元(2D)又は3次元(3D)構造を製造するうえで有用でありうる。] [0003] 一製造方法では、可視又は近赤外(NIR)放射のパルスレーザー光線が、改変されたフォトポリマー樹脂内に集束される際にボクセル、すなわち3D体積要素が形成される。樹脂内部における非線形的相互作用反応により、NIR放射光の2個の光子がほぼ同時に吸収されるレーザー光線の焦点の近傍で樹脂の硬化が開始する。この樹脂の硬化を「光重合」と呼ぶ場合があり、この反応を「2光子光重合」反応と呼ぶ場合がある。樹脂の光重合は、不充分な強度、すなわち光重合を開始するための閾線量よりも低い強度を有するNIR放射光の部分に曝露された樹脂の領域では起こらない。] [0004] レーザビームの焦点の位置を樹脂に対して3次元(すなわち、X軸、Y軸、及びZ軸方向)で制御することにより、多光子光重合反応によって3D構造をボクセルごとに構築することができる。多くの場合、3D構造は、ボクセルおよそ1個分の層(例えばXY平面内)を硬化させた後、焦点をボクセルおよそ1個分の長さだけ動かし(例えばZ軸に沿って)、次の層を硬化させる(例えば、XY平面)ことによって形成される。このプロセスを、所望の構造が少なくとも部分的に硬化されるまで繰り返すことができる。] [0005] 通常、レーザー光線の焦点は概ね球形又は楕円体であり、強度プロファイルは任意の直径に沿っておおよそガウス分布にしたがう。したがって、レーザー光線に曝露されることによって硬化するボクセルは概ね球形であるか、長軸が1乃至1よりも多い軸(例えば、X軸、Y軸、又はZ軸)に沿った細長い球形に似た形状でありうる。] 課題を解決するための手段 [0006] 本開示は、多光子露光によって形成される構造のエッジ明瞭性を向上させるためのシステム及び方法に一般的に関する。広義には、エッジ明瞭性とは、表面の粗さ、所望の表面又はエッジに対する硬化後の表面又はエッジの忠実度など、所定の構造のエッジ又は表面のあらゆる特性として定義することができる。エッジ明瞭性を向上させることは、所望の形状に対して高い忠実度を有する構造を形成するうえで望ましいものでありうる。エッジ鮮明性を向上させるための方法には、広義には、リアルタイム出力制御、高速シャッターによる軌跡制御、ディザリング、及び露光光線の空間的変調が含まれる。] [0007] 一態様では、本開示は、多光子硬化性光反応性組成物に対して放射光線を走査することを含む方法に関する。放射光線は、所定体積の多光子硬化性光反応性組成物を少なくとも部分的に硬化させるために充分な出力を有する。本方法は更に、放射光線が走査される際に放射光線の特性を改変することを含む。] [0008] 別の態様では、本開示は、多光子硬化性光反応性組成物の内部において放射光線の焦点を走査することによって、多光子吸収により所定体積の多光子硬化性光反応性組成物を少なくとも部分的に硬化させることと、焦点を走査するのと同時に出力計を使用して放射光線の少なくとも一部の出力を測定することと、放射光線の前記少なくとも一部の前記測定された出力を放射光線の所望の出力と比較することと、前記測定された出力と前記所望の出力との間に検出された差に基づいて焦点を走査するのと同時に放射光線の出力を調節することとを含む方法に関する。] [0009] 別の態様では、本開示は、多光子硬化性光反応性組成物内に境界を有する領域を特定することを含む方法に関する。本方法は更に、前記特定された領域内の多光子硬化性光反応性組成物に対して放射光線を走査することを含む。放射光線は、所定体積の多光子硬化性光反応性組成物を少なくとも部分的に硬化させるために充分な出力を有する。本方法は更に、放射光線を、前記境界を超えて前記特定された領域の外部へと走査することと、放射光線が前記特定された領域の外部に達した時点で放射光線のシャッターを閉じることとを更に含む。次いで放射光線は、前記境界を越えて前記特定された領域の内部へと走査され、放射光線が前記特定された領域の内部に達した時点で放射光線のシャッターが開かれる。放射光線の走査速度は、光線が前記境界を越えて走査される際に変化しない。] [0010] 本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付図及び以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。] 図面の簡単な説明 [0011] 放射光線の1回の走査によって形成された構造を示す説明図。 従来の多光子硬化システムによって形成された、ボクセル1個分の幅を有する構造の説明図。 従来の多光子硬化システムによって形成された、斜めの表面を有する構造の説明図。 従来の多光子硬化システムによって形成された立方体の断面図。 従来の多光子硬化システムによって形成された立方体の断面図。 従来の多光子硬化システムによって形成された正方形の輪郭を示す平面図。 放射光源モジュールを有する光学システムの概略ブロック図。 制御モジュールの概略ブロック図。 例示的な半波長板及び偏光板を示す斜視図。 半波長板の角度に対して出力を示す例示的なグラフ。 走査速度に対する出力のプロット。 多光子硬化を利用して構造の外周部を形成する例示的な方法を示す図。 多光子硬化を利用して構造の外周部を形成する別の例示的な方法を示す図。 多光子硬化を利用して構造の内側を形成する例示的な方法を示す図。 多光子硬化を利用して構造の内側を形成する別の例示的な方法を示す図。 多光子硬化を利用して表面粗さの小さいエッジを形成する例示的な方法を示す図。 図15の方法と同様の方法を用いて形成された構造の側面図。 例示的な光線の形状を示す5つの断面図。 例示的な光線の形状を示す5つの断面図。 例示的な光線の形状を示す5つの断面図。 例示的な光線の形状を示す5つの断面図。 例示的な光線の形状を示す5つの断面図。 丸みを帯びた四角形の断面を有する焦点を用いて形成された立方体の側面図。 丸みを帯びた四角形の断面を有する、ディザリングした焦点を用いて形成された立方体の側面図。] 図15 実施例 [0012] 表面又は構造を例えば多光子重合システムを用いて硬化させる場合、球形のボクセル形状が不利となる場合がある。例えば、図1に示されるように多光子重合システムからのレーザー光線がほぼ直線に沿って走査されると、ほぼ円筒状の形状10が形成される。図2では、レーザー光線を紙面に垂直(Z軸に平行)に走査することによってボクセル1個分の厚みを有する構造20をZY平面内に形成している。構造20は、それぞれがZ軸に沿ってレーザー光線を1回走査することによって形成される、5本の部分的に重なり合った走査線22a、22b、22c、22d、22e(まとめて「走査線22」と呼ぶ)を有している。明らかに分かるように、隣接する走査線同士(例えば走査線22aと22b)が大きく重なり合っている場合であっても不明瞭なエッジを有する不均一な表面が残ることになる。表面24は、走査線22の最も幅の広い部分(X方向に)に相当する多数の隆起部26と、走査線22の幅がそれほど大きくなく、走査線22が隣の走査線(例えば22a及び22b)と充分に重なり合っていない領域に相当する多数の凹部28とを有することによって滑らかな表面を形成している。] 図1 図2 [0013] 図3に示されるように、ボクセルの直径が限定されていることにより、複数の層32、34、36の端部によって形成される所望の表面の滑らかさは、個々の層32、34、36が少なくとも部分的に重なり合っている場合であっても限定されてしまう。このような表面の形成方法によって、階段状の凹部38を有する表面39が形成される。] 図3 [0014] より小さなボクセルサイズを用いることによって表面粗さを低減し、エッジ明瞭性を向上させることができるが、この手法では構造を硬化させるのに要する時間が長くなってしまう可能性がある。実例として、図4Aに示される立方体40aを考える。立方体40aは、連続した複数の層を硬化させて立方体40aの所望の高さを積み重ねることによって形成することができる。図4Aに示される例では、立方体40aは6層の積層された層を要する。もしここで図4Bに示されるようにボクセルサイズを半分に小さくする(走査速度は維持したまま)と、所望の高さの立方体40bを形成するには2倍の数の層(例えば12層)が必要とされるために立方体40bを硬化させるための時間が2倍になる。] 図4A 図4B [0015] エッジ明瞭性は、従来の多光子露光システムでは、例えば、出力、焦点サイズなどの光線特性のリアルタイムな情報及び制御の量が限定されていることから更に制限される。例えば、レーザー光線の出力は、構造の露光を開始する前にほぼ一定の値に決定及び設定することができる。通常、構造の露光の少なくとも一部について、出力を意図的に改変することはしない。] [0016] 簡単に述べると、所定体積の樹脂によって吸収されるNIR放射光の形態のエネルギーの量は、放射光線の出力に、所定体積の樹脂が光線に曝露された時間を乗じたものに概ね比例しうる。これにより、走査方向の変更が必要な場合に問題が生じる。例えば、光線と樹脂との相対的な位置は、制御可能なステージ又は例えば可動式ミラー、レンズなどの制御可能な光学アレイによって通常は制御される。これらの物体はいずれも質量を有するため、加えられた力に応じて有限の加速度又は減速度が働く。したがって、光線の走査方向を変化させるには、光線の走査速度、したがって光線に対する所定体積の樹脂の露光時間を少なくともある程度変化させる必要が一般にある。これにより、所定体積の樹脂によって吸収されるエネルギーが変化し、少なくとも部分的に硬化したボクセルの結果的なサイズが変化する。] [0017] この現象の比較的単純な一例を図5に示す。図5では、正方形50の輪郭54が望ましい。光線の出力は走査を開始する前に設定されており、走査は例えば左下隅56から開始される。この後、光線は垂直方向に走査されて正方形50の左側をトレースする。光線が垂直方向に走査されるにしたがって、光線は静止状態から光線の所望のほぼ一定の速度にまで加速される。構造が充分に小さい場合には、光線は方向の変化に備えて減速しはじめる前に所望のほぼ一定の速度に達しない可能性がある。光線がほぼ一定の走査速度に達するか否かとは関係なく、光線の出力がほぼ一定の値に保たれているため、光線が加速するにつれて、少なくとも部分的に硬化したボクセルのサイズは小さくなる。これにより、少なくとも部分的に硬化した輪郭部52の幅は光線が加速するにつれて減少し、光線が隅部58において方向転換するのに備えて減速する際に再び増大する。] 図5 [0018] 上記の考察から明らかであるように、特定の光線特性をリアルタイムに制御することができないことにより、少なくとも部分的に硬化した構造の、所望の構造に対する忠実性が損なわれる。] [0019] 図6は、多光子露光を用いてマイクロ構造又はナノ構造などの1以上の構造を製造するために使用することが可能な製造システム60を示すブロック図である。製造システム60は、放射光源モジュール62を有する光学システム61を有している。製造システム60は、制御モジュール63、多光子硬化性光反応性組成物66(以後、「樹脂66」と呼ぶ)、樹脂66が置かれる基板67、及び樹脂66と基板67を支持するステージ68を更に有する。] 図6 [0020] 光学システム61は、製造システム60の光学画像形成システムである。光学システム61の放射光源モジュール62は、例えば、放射光源モジュール62内の対物レンズによって画像平面69上に集束される超高速可視又は近赤外(NIR)レーザー光線などの放射光線64を与える。樹脂66、基板67、及びステージ68は、図6の製造システム60の構成においては、画像平面69に配置されている。] 図6 [0021] 一般に、制御モジュール63は、樹脂66へと1以上の放射光線を向けることによって樹脂66の1以上の領域を選択的に硬化させ、樹脂66内部にほぼ等しいか又は異なるサイズの、1以上の少なくとも部分的に硬化したボクセルを形成する。] [0022] 光学システム61は、異なるモジュールを使用することによって1以上の放射光線(例えばレーザー光線)の焦点の品質及び位置決定を制御することが可能である。光線64の特性(例えば径、形状、出力など)をカスタマイズし、光線64の焦点65の位置を制御することは、樹脂66の内部に所望の構造的形成部を正確かつ精密に形成するうえで多光子光重合性製造法において有用でありうる。] [0023] 特定の実施形態では、充分な強度の放射光が樹脂66の内部に存在する場合に、放射光(例えばNIR放射光)の2個以上の光子が所定の体積の樹脂66と相互作用する非線形反応が起こる。非線形反応の際には、放射光線64の焦点65における所定体積の樹脂66が、2個以上の光子を吸収し、これにより焦点65の近くの樹脂66が硬化するような化学反応が誘発されて、少なくとも部分的に硬化したボクセルが形成される。例えば、一実施形態では、樹脂66の層内の好適な多光子硬化性光反応性組成物には、酸又ラジカルによって開始される化学反応を行うことが可能な少なくとも1種類の反応種、及び多光子開始剤システムが含まれる。適当な波長及び例えば近赤外(NIR)放射の強度のような充分な光強度(「閾強度」に等しいかそれよりも高い)を有する光線64に樹脂66の層の領域を曝露することにより、2光子開始剤システム中で2光子吸収が起こり、これにより光線64に曝露された樹脂66の領域内で反応種の酸又はラジカル開始化学反応が誘発される。] [0024] 光線64に曝露された所定体積の樹脂66中の化学反応によって、光線64に曝露された樹脂66の層の所定体積の少なくとも一部において化学的又は物理的な性質の検出可能な変化が引き起こされる。検出可能な変化の例としては、例えば、露光前の光反応性組成物と比較した場合の架橋、重合、及び/又は溶解度特性の変化(例えば、特定の溶媒中への溶解度が小さくなるか大きくなる)が挙げられる。本明細書ではこれらの検出可能な変化のいずれが生じる場合も硬化と呼び、硬化は少なくとも部分的に硬化した物体が形成されるまで継続する。硬化工程は、光線64の焦点65に曝露される樹脂66の層の内部の任意の体積で起こりうる。硬化工程に続き、場合に応じて樹脂66の層を、層の未硬化部分を除去することにより硬化物体を得るかあるいは硬化物体自体を層から除去することによって現像することもできる。] [0025] 図6に示される実施形態では、樹脂66は任意の好適な光反応性組成物樹脂(例えば多光子硬化性光反応性組成物)を含みうる。多光子感光性光反応性組成物は、反応種、多光子光増感剤、電子受容体、及び他の任意の成分を含みうる。好適な多光子硬化性光反応性組成物の例は、発明の名称が「多光子硬化性光反応性組成物を製造するための方法及び装置」(METHODANDAPPARATUS FOR PROCESSING MULTIPHOTON CURABLE PHOTREACTIVECOMPOSITIONS)である米国特許出願第60/752,529号(スリー・エム社(3M)代理人ドケット番号61438US002)、及び、発明の名称が「光機能性多光子硬化性反応種」(Highly Functional Multiphoton Curable Reactive Species)である米国特許出願第60/979,229号(スリー・エム社(3M)代理人ドケット番号63221US002)に述べられている。] 図6 [0026] 光線64と樹脂66の層とは、直交するXZ軸が図6に示される画像の平面内にあり、Y軸が画像の平面にほぼ垂直な方向に延びるものとして、X軸、Y軸及びZ軸方向の少なくとも1つに互いに対して動かすことが可能であることによって樹脂66の内部に複数の少なくとも部分的に硬化したボクセルを形成することができる。光線64を樹脂66に対してX、Y、及び/又はZ軸方向に動かすか、ステージ68を光線64に対してX、Y、及び/又はZ軸方向に動かすか、あるいは、光線64及びステージ68を互いに対して動かすことによって樹脂66内の異なる位置にボクセルを形成することができる。このような複数の少なくとも部分的に硬化したボクセルによって所定の構造の形成部が画定されうる。] 図6 [0027] 光学システム61は、樹脂66内部で放射光線64を選択的に位置決めすることを助ける光線位置決めモジュールを有することにより、樹脂66内部における焦点65の位置を制御し、これにより所定体積の樹脂66を選択的に硬化させて構造の形成部を画定することができる。光線位置決めモジュールは例えば検流計に取り付けられた1以上のミラーを有してもよい。ミラーを動かすことにより、樹脂66の内部で光線64の焦点65をそれに対応して動かすことができる。したがってミラーの位置及び運動を知ることによって光線64の焦点65の位置及び運動を知ることができる。] [0028] 制御モジュール63は、検流計を制御することによってミラーの位置及び運動を制御することができる。制御モジュール63は更に、ミラーの位置及び運動を求めるために検流計又はミラーに結合されたセンサーを有してもよく、ミラー及び基板67の位置に基づいて光線64の焦点65の位置及び運動を求めるソフトウェアを有してもよい。] [0029] 基板67は樹脂66を支持する。基板67は樹脂66を支持するうえで充分な任意の材料又は材料の組み合わせで形成することができる。特定の実施形態では、基板67は樹脂66を支持するためのほぼ平面状の表面を画定する。特定の好ましい実施形態では、基板67は、シリコンウェーハ、ガラス板、機械加工基板、又はこれらの組み合わせからなるものでよい。] [0030] ステージ68は、基板67を支持する表面を画定する。したがって、多くの場合、ステージ68の形態は基板67の形態と相補的なものとなるように選択される。例えば、図6に示される実施形態では、ステージ68はほぼ平面状の基板67を支持するためのほぼ平面状の表面68Aを画定している。] 図6 [0031] 特定の実施形態では、ステージ68は、例えば制御モジュール63の制御下で、X軸、Y軸、Z軸方向の少なくとも1つに動くことができる。制御モジュール63は、ステージ68の位置を変化させることによって樹脂66に対する光線64の焦点65の位置を変化させることができる。しかしながら特定の実施形態では、樹脂66に対する光線64の焦点65のX軸、Y軸、及びZ軸の位置の少なくとも1つは光学システム61の要素の補助によって変更される。] [0032] 放射光源モジュール62は、樹脂66を硬化させるうえで充分な出力の光線64を与える光源を有する。光学システム61が多光子重合反応で使用される実施形態では、放射光源モジュール62は、樹脂66の光反応性組成物に使用される多光子吸収物質に適した波長において多光子吸収を引き起こすために充分な出力を有する光線64を与える。放射光源62は、樹脂56の硬化を開始させるのに必要なピーク出力及び強度を与える。特定の実施形態では、放射光源62は、約100フェムト秒(fs)など、約1フェムト秒(fs)〜約10psの間の出力パルス幅を有する光線を与えることができる。特定の場合では、より高いパルス速度が望ましい。] [0033] 一実施形態では、放射光源モジュール62はパルスフェムト秒レーザーなどの比較的低出力の超短レーザー光を与える。一例として、放射光源モジュール62はカリフォルニア州アーバイン所在のニューポート社(Newport Corporation)より市販されるSpectra−Physics MaiTaiレーザーを有してもよい。] [0034] 放射光源モジュール62は、単一の光のバーストを放射するのではなく、比較的に低パルスエネルギーのレーザー光を連続的なパルスとして放射することによって樹脂66によるほぼ同時の多光子吸収を引き起こすことができる。特定の実施形態では、モジュール62からの光のパルスを樹脂66のほぼ同じ部分に向けることによって、複数のパルスの吸収により1個のボクセルを硬化させることができる。他の実施形態では、複数のパルスによって複数のボクセルを硬化させることができる。「低パルスエネルギー」のレーザーとは、単一のバーストによって所定体積の樹脂66を完全に硬化させるには不充分な出力を示す光のことを指して言う。低パルスエネルギーのレーザーでは、所定体積の樹脂66を完全に硬化させるのに連続的なバーストを必要とする。] [0035] 図7は、制御モジュール60、安全シャッター72、高速シャッターシステム74、及びビーム減衰器76を有する制御モジュール63のブロック図である。制御モジュール63は、放射光線64に対する樹脂66の曝露を開始及び停止させることによって樹脂66の各部分を選択的に硬化させて3D形成部を形成する。更に、制御モジュール63は放射光線64の出力を制御する。上記に述べたように、樹脂66を硬化させてボクセルを形成する反応は実質的に非線形であり、露光プロセスの際の所望のレーザー出力からのいかなるずれも誤差を生じうる。光学診断モジュールからのフィードバックに基づき、制御モジュール63は放射光線64の出力を所望のレベル又は所望のレベルの所定の範囲内に制御する。出力計によって放射光線64の出力をシステム60内の光路に沿った1以上の点において測定することができる。この測定された出力に基づき、制御モジュール63は光線64の出力をほぼリアルタイムで(すなわち、光線66が樹脂66に対して走査されるのと同時に)調節することができる。] 図7 [0036] したがって、制御モジュール63は、光線64の出力を所望のレベルに調節するためのビーム減衰器76を有してもよい。特定の実施形態では、ビーム減衰器76は、放射光源モジュール62からの光を減衰するための波長板(HWP)及び偏光ビームスプリッタ(PBS)、又はHWP及び偏光板を有してもよい。特定の実施形態では、ビーム減衰器は、モジュール62が樹脂66を硬化させるうえで望ましい出力よりも大きな出力を有する光を出力する場合に放射光源モジュール62からの光を減衰する。光線64の出力を低下させることにより、所定体積の樹脂66を光線64の焦点65に曝露することによって形成される少なくとも部分的に硬化されたボクセルのサイズが小さくなる。] [0037] 特定の実施形態では、PBSに入射する入射光は、PBSによって少なくとも2つの部分に分割され、第1の部分はPBSによって、光線64の第1の部分の出力に基づいて光線64の出力を推定することが可能な出力計へと向けられるのに対して、光線64の別の部分はPBSによって光学システム61の残りの部分を通じて焦点面69の方向に向けられる。出力計は例えば、出力を示す電圧を出力するシリコンチップを有するマルチメーターを含みうる。出力計は光線64の第1の部分の出力を測定し、全光線64の総出力を推定する。出力の測定値に基づいて、出力計は制御モジュール63にフィードバックを与えることが可能であり、これにより制御モジュール63は必要に応じて光線64の出力を調節することができる。例えば、光線64の出力は放射光源モジュール62において、又は光学システム61内の別の点において調節することができる。] [0038] 他の実施形態では、ビーム減衰器76はビームサンプラーを含んでもよい。ビームサンプラーはサンプラーに入射する光線64の一定の割合、例えば光線64の小さな割合を反射することができる。光線64のこの割合を出力計によってサンプリングすることによって全光線64の出力を求めることができる。] [0039] 出力計に入力されるのは光線26の一部のみであるが、出力計又は制御モジュール63は適切なアルゴリズムを用いることにより、その部分の出力の測定値に基づいて全光線64の出力を推定することができる。] [0040] 一実施形態では、図8に示されるように、HWP 82は回転運動可能に取り付けられており、高速検流計が制御モジュール63の制御下でHWP 82を回転させる。一実施形態では、HWP 82を中心軸81を中心として両方向に約45°回転させることができる。HWP 82が回転すると光線64の偏光成分が回転する。光線64はHWP 82から出射して偏光板83に入射する。光線64の偏光性に応じて、異なる量の光線64が偏光板83を透過することにより、光線64の出力が変化する。] 図8 [0041] 光線64の出力の、HWP 82の角度に対する依存度を経験的に求めることが可能であり、図9に示されるようにこれに対応した角度に対する出力の曲線90を作成することができる。可能な曲線の1つのタイプを図9に示したが、例えば直線状の曲線、指数曲線などの他の曲線も可能である。経験的に導出された曲線をソフトウェアにプログラミングし、HWP 82の回転により光線64の出力を制御するために使用することができる。] 図9 [0042] 一般に、HWPによって比較的高速の出力制御が実現されることから、ボクセル形成プロセス用の光線64の出力を、樹脂66の内部に1個以上のボクセルを形成しながら実質的にリアルタイムで変化させることができる。] [0043] 別の実施形態では、リアルタイムの出力制御を与えるためにポッケルスセルを使用することもできる。例えば、所定の電圧をポッケルスセルに印加することにより、ポッケルスセルを通過する光線64の偏光性に所定の変化が生じうる。これにより、ポッケルスセルでHWP 82を置き換えることが可能であり、偏光板と組み合わせることによって光線64のリアルタイムな出力制御が与えられる。] [0044] 他の実施形態では、制御モジュール63は、ビーム減衰器76に加えるかあるいはこれに代えて他の出力及びエネルギー監視装置を含んでもよい。更に、他の出力及びエネルギー監視装置を、光学システム61に特定の工程又は間隔で、かつ異なる位置に組み込むことによって、特定の光学要素に関して所望の出力レベルを設定したり、出力レベル又は時間を追跡することが可能である。] [0045] 光線64の出力のリアルタイム制御により、走査速度のあらゆる変化の影響を軽減することができる。例えば、ほぼ一定のボクセルサイズを維持するために光線64の走査速度を減少させる際に光線64の出力を低下させることができる。] [0046] 与えられた樹脂66に対し、ボクセルサイズは一般的に、所定体積の樹脂66によって吸収されるエネルギーの量の関数として考えることができる。単純化すると、所定体積の樹脂66によって吸収されるエネルギーの全体量は、所定体積の樹脂66が光線64の焦点65に曝露される時間に光線64の出力を乗じたものに概ね比例する。光線64の出力と、光線64の走査速度と、ボクセルサイズとの間の関係は極めて複雑でありうる。ボクセルサイズと、出力と走査速度との間の非線形的関係を示す例示的なグラフ100を図10に示す。走査速度と、出力と、ボクセルサイズとの間の特定の関係は、図10に示される実施形態とは対応しない場合があり、図10の特徴は基本的概念を説明することを目的としたものであって、特定の光線64及び樹脂66のシステムの実際の挙動を示すことを目的としたものではない。より詳細には、光線64の樹脂66との非線形的相互作用は、例えば、光開始剤システム及び硬化性化学種といった樹脂66の組成、光線64の波長、パルス幅、走査速度、光線64の出力などの広範な因子に依存しうる。] 図10 [0047] 図10では、グラフ100は、小さいボクセルサイズの曲線102、中間のボクセルサイズの曲線104、及び大きなボクセルサイズの曲線106にそれぞれ対応した3本の一定ボクセルサイズの曲線102、104、106を含んでいる。図10に示されるように、一定ボクセルサイズ曲線102、104、106の曲率は同じである必要はない。すなわち、大きなボクセルでは、速度の所定の減少量105に対してボクセルサイズを維持するためには、同じ走査速度の減少量105に対してより小さなボクセルのサイズを維持するのに必要とされる出力の減少量103よりも大きな出力の減少量101を必要とする場合がある。また、大きなボクセルにおいてほぼ一定のボクセルサイズを維持するのに必要とされる出力の減少量が小さなボクセルに対するよりも小さい場合もあり、あるいは、ほぼ一定のボクセルサイズを維持するのに必要とされる出力の減少量が大きなボクセルと小さなボクセルとで概ね等しい場合もある。] 図10 [0048] いずれの場合においても、一定ボクセルサイズ曲線102、104、106の特定の形状は、異なる出力と走査速度の組み合わせで例えば線などの多数の構造を作製することによって通常は経験的に求められる。得られたボクセルサイズ(例えば線の幅)を測定すると、図10に示される曲線と同様の曲線が作成される。これらの曲線を制御モジュール63内に保存され、制御モジュール63によって実行されるソフトウェアプログラムにプログラミングすることができる。ソフトウェアプログラムは、制御モジュール63によって収集された光線64の位置及び運動(走査速度)のデータ、並びに出力計によって測定及び計算された光線64の出力を用い、所望のボクセルサイズ及び光線64の走査速度に基づいて光線64の出力をいつ、どのように調節すべきかを決定する。一定ボクセルサイズ曲線102、104、106は、図10に示される範囲全体でほぼ非線形であるものとして示されているが、特定の実施形態では、曲線102、104、106はほぼ直線状の部分を含む場合もある。] 図10 [0049] 図11は、この考え方を用いて形成された例示的な構造を示したものである。図5と同様、正方形110の所定の輪郭が望ましい。この例では、光線64は左下隅111から走査を開始し、矢印112によって示されるようにほぼ垂直方向に走査される。この例では、光線64は点111において最初は静止状態にある。光線64を走査するために使用される、検流計に取り付けられたミラーは質量を有するため、力が作用するとミラーは有限の速度で加速する。この加速度を直線プロット113で表わす。それぞれの直線は続く単位時間における光線の位置を表している。したがって、プロット113の隣り合う直線間の距離が大きいほど光線は速く移動する。最初、光線64は、括弧114で示される隣り合う直線間の比較的小さい距離によって示されるように、比較的ゆっくりと走査している。しかしながら、比較的短い距離で、光線64は括弧115によって示されるように所望の走査速度にまで加速している。] 図11 図5 [0050] 所定体積の樹脂66によって吸収される全エネルギーをほぼ一定に保つため、光線64が加速するにしたがって、直径が変化する円116、117によって示されるように光線64の出力を増大させる。光線64が比較的ゆっくりと走査している場合(括弧114)、出力は点111を囲む小さな円によって示されるように比較的低い。光線64がほぼ一定の所望の走査速度に達すると(括弧115)、光線の出力は円117によって示されるように、光線64の最初の出力よりも高いほぼ一定の出力に維持される。ボクセルサイズと、光線64の出力と、走査速度との間の特定の相関は、上記に詳しく述べたように各樹脂66及び光線64を含むシステムについて経験的に求めることができる。] [0051] 走査速度の変化に応じて光線64の出力を制御することにより、正方形110のほぼ一定幅の輪郭によって示されるように、ほぼ一定の少なくとも部分的に硬化したボクセルサイズを得ることができる。光線64の出力のリアルタイム制御は、光線64の出力を特定量の所望の出力の範囲内に維持するうえでも有用でありうる。例えば、放射光源モジュール62は、光線64の出力の望ましくない変動を含む光線64を生成する場合がある。リアルタイムの出力制御によってこれらの変動を軽減し、光線64の出力を±1%のような特定の範囲内又は別の所望の値に維持することができる。] [0052] 光線64のリアルタイム制御は、より粗い又は細かい形成部を形成するために少なくとも部分的に硬化したボクセルサイズを制御するうえでも望ましい場合がある。例えば、より大きなボクセルサイズではより大きな面積を硬化するのに要する時間を減少させることができるのに対して、より小さなボクセルサイズはより細密な形成部を露光するうえで望ましい場合がある。一例として、より小さなボクセルサイズ(例えば、より低い出力及び/又はより大きな走査速度)をリアルタイム出力制御とともに用いて正方形110の輪郭を露光した後、より大きなボクセル(例えば、より高い出力及び/又はより小さな走査速度)を用いて正方形110の内側118をより効率的に硬化させることができる。] [0053] 露光制御モジュール70は、マイクロプロセッサー、DSP、ASIC、FPGA、離散型論理回路などの処理装置を有してもよい。処理装置はソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせを実行することによってモジュール72、74及び76のそれぞれを制御することができる。] [0054] 特定の実施形態では、制御モジュール63は光線64を遮断するための安全シャッター72を有する。安全シャッター72は、例えば、放射光源モジュール62が放射光線源をウォーミングアップしている間、光線64を遮断するのに有用でありうる。特定の種類のレーザー光線では、出力の安定レベルに達する前にレーザーのウォームアップをする。例えば、Spectra−Physics MaiTaiレーザーは、所望のレベルに安定化するのに約5分〜約30分を要する場合がある。しかしながら、場合により、光線64は所望の安定レベルによっては、安定化するのに数時間を要する場合がある。ウォームアップ時間では、光線64の出力及び光線の指向安定性(例えば焦点65の予測可能性)が変動しうる。制御モジュール70によって安全シャッター72を制御することにより、ウォームアップ時間、及び光線64が樹脂66と接触することが望ましくない他の時間において光線64を遮断することができる。例えば、安全シャッター72は、放射光源モジュール62を停止させることに加えるかあるいはその代わりに、光学システム61の緊急停止手段として使用することができる。] [0055] 制御モジュール63は、光線64がほぼ安定化し、樹脂66が光線64の焦点65に対して所望の位置に置かれた後に光線64による露光を開始又は停止させる高速シャッターシステム74を更に有している。制御モジュール63内の露光制御モジュール70によってシャッターシステム74を制御することができる。「高速」シャッターシステム74は一般に、約20ナノ秒(20ns)間に約1回のオン/オフサイクルの速度のように、50ナノ秒(50ns)毎にオン/オフステージ間で約1回切り換えるよりも速い速度で、光線64に対する樹脂66の露光をオン又はオフすることが可能な任意のシャッターシステムであってよい。] [0056] 一実施形態では、高速シャッターシステム74は、ポッケルスセル及び偏光板を含む。ポッケルスセルは、結晶に電圧を印加することにより通過光線の偏光特性を変化させるものである。高速シャッターシステムの1つのタイプのものでは、ポッケルスセルが偏光板と組み合わされている。ポッケルスセルは、光学回転していない位置(0°)と約90°の回転との間で切り換えることが可能であることによってナノ秒単位で開閉するシャッターを形成する。更に、ポッケルスセルと偏光板との組み合わせを0°と90°との間の位置で回転させることによって光線64が樹脂66と接触する前に光線64の強度を変化させることができる。] [0057] 別の実施形態では、制御モジュール63の高速シャッターシステム74は、高周波の音波などの音波を用いて光を回折させ、光の振動数をシフトさせる音響光学効果を利用した音響光学変調器(AOM)を有する。AOMの1つのタイプのものでは、圧電トランスデューサーがガラスなどの材料に取り付けられており、振動する電気信号によってトランスデューサーを振動させ、これによりガラス内部に音波を発生させる。この音波によって屈折率が変化し、これにより放射光源モジュール62からの入射光線64が分散される。しかしながら場合により、例えば放射光源モジュール62がフェムト秒レーザーを使用している場合などでは、AOM内部での光線64の光学分散によって光線64の光学的精度が影響を受ける可能性がある。] [0058] 更なる他の実施形態では、高速シャッターシステム74は、1以上の機械的シャッター、可変フィルター又はエタロンなどの機械的なスイッチング装置を有してもよい。ポッケルスセル、AOM、機械的スイッチング装置、及び他の高速シャッターシステムは単独で使用しても互いに組み合わせて使用してもよい。] [0059] 上記に簡単に述べたように、高速度シャッターシステム74を使用して必要に応じて光線64に対する樹脂66の露光を速やかにオン及びオフすることができる。これにより、例えば、図12、13及び14に表わされる書き込みアルゴリズムのような、より効率的な書き込みアルゴリズムが可能となる。] 図12 [0060] 図12は、図5の正方形50の所望の形状に似た正方形121の輪郭を示したものである。正方形121の輪郭は、正方形121の形状に光線64の焦点65を走査することによって形成することができる。最初に、光線64の焦点65を矢印123によって示されるように垂直方向に走査する。正方形121の最初の縁部124に到達する前に高速シャッターシステム74が光線54を遮断して、光線64が樹脂56を露光することを防止する。光線64の焦点65が正方形121の第1の縁部124にまで走査されると、高速シャッターシステム74がシャッターを開放し、光線64が樹脂56を露光しはじめる。光線64の焦点65は樹脂56の露光が開始される前にすでに走査されているため、焦点65は所望のほぼ一定の速度ですでに走査されている。したがって、光線64の出力をほぼ一定の値に維持することによってほぼ一定のボクセルサイズを維持することができる。更に、隅部125などの各隅部において光線64の焦点65が走査する方向を急に変化させる代わりに、焦点65が正方形121の第2の縁部126に達した時点で高速シャッターシステム74が閉鎖される。次いで閉鎖された焦点65は、正方形121の第3の縁部128に対してほぼ垂直となるまでほぼ円形のパターンに走査され、ここで焦点65の走査経路が真っ直ぐとなる。この後、焦点65が第3の縁部128に達した時点で高速シャッターシステム74が光線64のシャッターを開き、正方形121の第2の辺129の露光が始まる。正方形121の他の辺を露光するように光線64の焦点65を方向転換させる際にも同様の過程が行われる。] 図12 図5 [0061] 更に、図13及び14は、正方形121と同様のものであってよい正方形131の内側を少なくとも部分的に硬化させるために用いることが可能な例示的な方法を示したものである。ここでもやはり、高速シャッターシステム74を使用して光線64のシャッターを開閉することにより、所望の露光パターンで光線64に対して樹脂66を露光し、また露光を防止する。図13では、こうした露光パターン133をクロスハッチ(すなわち正方形131に対して斜め)で示してある。図12と同様、光線64の出力は、一定の半径を有する円132によって示されるようにほぼ一定に保たれている。高速シャッターシステム74を使用して、破線134によって示される、光線64により樹脂56が露光されないことが望ましい位置では光線64のシャッターを閉じる。高速シャッターシステムは、実線135によって示される、光線64により樹脂66が露光されることが望ましい位置では光線64のシャッターを開く。ここでもやはり図12と同様、焦点65の走査速度は正方形131の内側においてほぼ一定である。] 図12 図13 [0062] 図14は、正方形141の内側の露光の別の例示的なパターン143を示したものである。図13のクロスハッチの露光パターンの代わりに、図14の露光パターン143は、正方形141の辺146に対してほぼ平行である。ここでもやはり、光線64の出力及び走査速度は正方形141の内側においてほぼ一定であり、高速シャッターシステム74を使用して光線64のシャッターを閉じる(破線144により示される)、及び開く(実線145により示される)ことによって樹脂66の所望の領域のみを露光する。] 図13 図14 [0063] 図12、13、及び14に関して述べた方法と同様の方法を用いることによって、線、平面、曲面、並びに複数の線、平面、及び/又は曲面からなるより複雑な構造などの任意の所望の形状の構造を少なくとも部分的に硬化させることができる。これらの方法は、所望の形状の外側の境界を最初に硬化させずに実施することも可能である。例えば、1以上の境界を有する所望の硬化形状又は領域を最初に画定した後、上記に概要を述べたものと同様の高速シャッター法を用いることもできる。] 図12 [0064] 上記に述べたもののような高速シャッター法は、構造を少なくとも部分的に硬化させるのに要する時間を短縮する(すなわち処理量を増やす)うえでも有用である。高速シャッター法の使用によってほぼ一定の走査速度を使用することが可能となるため、焦点65を加速及び減速させる必要がなくなる。焦点65を加速又は減速させる都度に費やされる時間は比較的短いものであるが、複雑な構造を少なくとも部分的に硬化させる場合に焦点65を加速及び減速するために費やされる累積時間は、構造を硬化するために必要な時間のかなりの部分を占める場合がある。したがって焦点65を加速及び減速させるために費やされる時間を短縮させることによって、構造を少なくとも部分的に硬化させるのに要する時間の量を低減させることが可能である。] [0065] 上述したように、制御モジュール63により、光線64の焦点65の位置を高精度で制御することができる。こうした高精度の位置制御を用いることによって光線をディザリングすることが可能であり、これによりエッジ粗さが低減され、したがってエッジ明瞭性が向上する。ディザリングとは、信号にランダムなノイズを導入することを行う方法であり、この場合、信号は、光線64の焦点65の位置である。別の言い方をすれば、光線64の焦点65が振動させられるものであり、振動は図15に示されるように1つの軸(Y軸)の方向に生じてもよく、あるいは2又は更には3つの軸の方向に生じてもよい。光線をディザリングすることにより、ディザーされない軸方向のボクセルのサイズは維持する一方で、ディザー軸に対して平行な少なくとも部分的に硬化されたボクセルのサイズを効果的に増大させることができる。] 図15 [0066] ディザリングは、上記に述べたHWP/検流計と偏光板の組み合わせ、又はポッケルスセルと偏光板の組み合わせを用いて導入することもできる。例えば、これらの組み合わせによって実現されるリアルタイム出力制御を利用して、少なくとも部分的に硬化されたボクセルのサイズを速やかに変化させることができる。サイズを大きく及び小さくなるように速やかに、周期的又はランダムに変化させることにより、位置的ディザリングと同様の効果を得ることができる。] [0067] 少なくとも部分的に硬化されたボクセルのサイズの焦点の位置をディザリングすることは、図15に示される平面152のような所定の構造の表面を硬化させる際に特に有利となりうる。平面152は図2の平面20と同様であり、光線64を、Z軸に沿った5本の部分的に重なり合った走査線で走査することによって形成される。容易に理解されるように、光線64の焦点65をY軸方向にディザリングすることによって、大幅に低い表面粗さ、すなわちより高いエッジ明瞭性を有する平面152が形成される。詳細には、図2の平面20内に存在する凹部28がほぼ平滑化されており、これによりより平滑な表面154が得られる。] 図15 図2 [0068] 特定の実施形態では、構造をより速やかに形成する(処理量を増やす)ことができることから、より小さな焦点65を利用するよりもディザリングの方が好ましい場合もある。ここで図16を参照し、図4A及び4Bに示されるものと同様の立方体の例に再び戻ると、光線64のディザリングされた焦点65を利用してより滑らかな表面161、162を有する立方体160を形成することができる。立方体160は、図4Aの立方体40aと同様、6つの層を有するが、焦点65がディザリングされていることにより、より滑らかな表面161、162を有している。表面161、162の表面粗さは、光線をY軸方向に更にディザリングするか、少なくとも部分的に硬化されたボクセル同士が重なり合う部分を(Y軸方向に)大きくするか、焦点65のサイズを小さくするか、他の方法か、あるいはこれらの方法の2以上のものの組み合わせによって更に低減させることが可能である。] 図16 図4A [0069] 特定の実施形態では、光線64の焦点65のディザリングは、構造の表面、又は表面付近においてのみ望ましいか、又は必要とされる。これらの実施形態では、焦点65を構造を構成する所定体積の表面の表面、又は表面付近においてディザリングする一方で、構造の所定体積を走査する間には焦点65をディザリングしないようにしてもよい。] [0070] 多光子硬化によって形成される構造のエッジ明瞭性を向上させるうえで有用な別の方法では、焦点を空間変調する。空間変調は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)変調器、ポッケルスセル/偏光板又はHWP/偏光板の組み合わせなどの出力制御モジュール、ディザリングなどの各種のモジュールを用いた光学システム61によって行うことが可能である。LCD変調器は、ピクセルに入射する光線64の一部を透過させるかあるいはさせないように配列することができる多数の液晶ピクセルからなるものでよい。LCDの透過パターンを適宜構成することにより、所定の形状又はパターンを光線64に導入することができる。光線64の焦点65に導入される断面形状には、例えば、円171、楕円172、丸みを帯びた四角形173、ドーナッツ形状174、三角形175、他の幾何学形状などの図17A〜Eに示されるようなものが含まれる。LCD変調器は、光線64の位相のみに影響し、光線の出力には影響しないものであってもよく、これにより光線64の全出力は変化させずに光線64の焦点65の形状を変化させることができる。] 図17A 図17B 図17C 図17D 図17E 図18 図19 [0071] 空間変調は、少なくとも部分的に硬化されたボクセルの形状に影響することによってエッジ明瞭性を向上させうるものである。例えば、図18は、丸みを帯びた四角形状173を使用することで、低い表面粗さを有する立方体181がどのように形成されるかを示す、立方体181の側面図を示している。立方体181は、図4Aに示される立方体40a及び図16の立方体160と同様、6つの層を有している。ただし、焦点65の丸みを帯びた四角形状173のために表面粗さが低減され、エッジ明瞭性が高くなっている。] 図16 図18 図4A [0072] 空間変調を焦点65のディザリングと組み合わせることにより、表面粗さを更に低減し、エッジ明瞭性を更に向上させることが可能である。図19は、走査されると同時にディザリングされている丸みを帯びた四角形状173の焦点65によって形成される6つの層を有する例示的な立方体191の側面図を示したものである。丸みを帯びた四角形状173の焦点とディザリングの組み合わせにより、実質的に平滑な表面192、193を有する立方体191が得られた。ここでもやはり、各軸方向へのディザリングの量を調整することによって所望の表面粗さを与えることができる。] 図19 [0073] 上記の方法はそれぞれ、他の上記に述べた方法の1以上のものと組み合わせることによって、多光子硬化によって形成される構造のエッジ明瞭性を更に向上させることが可能である。例えば、焦点65のディザリングを、リアルタイム出力制御及び高度な書き込み技術と組み合わせることにより、エッジ明瞭性を高めることができる。楕円形の光線を主としてその長軸に沿ってディザリングするなど、他の組み合わせも可能である。] [0074] 本明細書で述べた方法及び装置は、多光子硬化システムの処理量を増大させる(構造を少なくとも部分的に硬化させるのに必要な時間の量を低減する)ために利用することもできる。処理量の増加は、複数の構造のアレイを製造する場合、複雑な構造を製造する場合、又はその両方において特に望ましいものとなりうる。例えば、リアルタイム出力制御により焦点65のサイズを制御して細密な形成部を有する小さなボクセルを形成することを可能とする一方で、より大きな形成部を効率的に硬化させることができるように焦点65を拡大することが可能である。更に、ディザリングを利用して1以上の軸方向にボクセルサイズを拡大する一方で1以上の他の軸方向にはボクセルサイズを維持することもできる。これは、1以上の寸法が1以上の他の寸法よりも大きな構造(例えば平面)を形成する場合に望ましいものとなりうる。] [0075] 以上、本発明の様々な実施形態について述べた。これら及び他の実施形態は以下の特許請求の範囲に包含されるものである。]
权利要求:
請求項1 方法であって、多光子硬化性光反応性組成物に対して放射光線を走査する工程であって、前記放射光線が所定体積の前記多光子硬化性光反応性組成物を少なくとも部分的に硬化させるために充分な出力を有する工程と、前記放射光線が走査される際に前記放射光線の特性を改変する工程と、を含む方法。 請求項2 前記放射光線の特性を改変する工程によって、構造のエッジ明瞭性が変化する、請求項1に記載の方法。 請求項3 前記放射光線の特性を改変する工程が、前記光線の出力を改変することを含む、請求項1に記載の方法。 請求項4 前記放射光線の特性を改変する工程が、前記放射光線の出力を測定することと、前記放射光線の測定された出力を前記放射光線の所望の出力と比較することと、前記放射光線の測定された出力が前記放射光線の所望の出力とほぼ等しくなるように前記放射光線の出力を変化させることと、を更に含む、請求項3に記載の方法。 請求項5 前記放射光線の特性を改変する工程が、少なくとも部分的に硬化されたボクセルのサイズがほぼ一定に維持されるように前記放射光線の出力を改変することを含む、請求項3に記載の方法。 請求項6 前記放射光線の特性を改変する工程が、前記放射光線の焦点の走査速度の変化に応じて前記放射光線の出力を改変することを含む、請求項3に記載の方法。 請求項7 前記放射光線の特性を改変する工程が、前記光線の走査速度を改変することを含む、請求項1に記載の方法。 請求項8 前記放射光線の特性を改変する工程が、前記放射光線を少なくとも1つの軸方向にディザリングすることを含む、請求項1に記載の方法。 請求項9 前記放射光線の特性を改変する工程が、前記光線の焦点を空間変調することを含む、請求項1に記載の方法。 請求項10 前記放射光線の特性を改変する工程によって、構造の表面粗さが低下する、請求項1に記載の方法。 請求項11 前記放射光線の特性を改変する工程が、構造の縁部に達した時点で光線のシャッターを閉じることを含む、請求項1に記載の方法。 請求項12 方法であって、多光子硬化性光反応性組成物の内部で放射光線の焦点を走査することによって所定体積の前記多光子硬化性光反応性組成物を多光子吸収により少なくとも部分的に硬化させる工程と、前記焦点を走査するのと同時に前記放射光線の少なくとも一部の出力を測定する工程と、前記放射光線の前記少なくとも一部の前記測定された出力を前記放射光線の所望の出力と比較する工程と、前記測定された出力と前記所望の出力との間の差に基づいて、前記焦点を走査するのと同時に前記放射光線の出力を調節する工程と、を含む方法。 請求項13 放射光線の焦点を走査する工程が、前記放射光線の前記焦点の走査速度を変化させることを含み、前記放射光線の前記所望の出力が、前記走査速度が変化する際に変化する、請求項12に記載の方法。 請求項14 前記放射光線の前記出力を調節する工程が、ほぼ一定のボクセルサイズが維持されるように前記放射光線の前記出力を調節することを更に含む、請求項12に記載の方法。 請求項15 方法であって、多光子硬化性光反応性組成物に対して放射光線の焦点を走査する工程であって、前記放射光線が前記焦点の近傍の所定体積の前記多光子硬化性光反応性組成物を少なくとも部分的に硬化させるために充分な出力を有する工程と、前記焦点を走査するのと同時に前記放射光線の前記焦点を少なくとも1つの軸に沿ってディザリングする工程と、を含む方法。 請求項16 前記放射光線の前記焦点が走査される際に前記放射光線の前記出力を改変することを更に含む、請求項15に記載の方法。 請求項17 前記放射光線の前記焦点をディザリングする工程が、所定の体積の表面に沿ってあるいはその付近に前記焦点が走査される場合には前記放射光線の前記焦点をディザリングするが、前記所定体積内を走査する場合には前記放射光線の前記焦点をディザリングしないことを含む、請求項15に記載の方法。 請求項18 方法であって、多光子硬化性光反応性組成物内に境界を有する領域を特定する工程と、前記特定された領域内の多光子硬化性光反応性組成物に対して放射光線を走査する工程であって、前記放射光線が所定体積の前記多光子硬化性光反応性組成物を少なくとも部分的に硬化させるために充分な出力を有する工程と、前記放射光線を、前記境界を超えて前記特定された領域の外部へと走査する工程と、前記放射光線が前記特定された領域の外部に達した時点で前記放射光線のシャッターを閉じる工程と、前記放射光線を、前記境界を越えて前記特定された領域の内部へと走査する工程であって、前記放射光線が前記特定された領域の内部に達した時点で前記放射光線のシャッターが開かれ、前記放射光線の走査速度が、光線が前記境界を越えて走査される際に変化しない工程と、を含む方法。
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